尿石症


原因

犬や猫の尿中に排出されるミネラル成分が結晶化し、さらには結石を作り排尿障害を引き起こす病気です。

尿石の成分によっていくつか分類する事が出来ます

代表的な結石 

ストロバイト
(リン酸アンモニウム・マグネシウム)

シュウ酸カルシウム

 

pH

アルカリで結晶化
(ウレアーゼ産生菌が関与)
酸性で結石化
特徴 食事療法で溶ける結石 食事療法で溶けない結石
レントゲン撮影 薄く映る 濃く映る
 写真

人間の尿石症では、シュウ酸カルシウム結石(リン酸カルシウムとの混合も含む)が全体の約90%で、リン酸マグネシウムアンモニウムは約5%です。

一方、犬や猫の場合は、シュウ酸カルシウム結石が多くみられます。ただ近年は、シュウ酸カルシウム結石の割合が増えており、注意が必要です。


症状

多くの場合、血尿が出たり、トイレに何度も行っても尿が出切らない様子を示す場合が多く見られます。そのまま放置をした場合、尿閉(尿が出ない)を起こしたり、食欲不振、嘔吐、虚脱などを示す場合があります。

特に尿閉を起こした場合、急性腎不全を起こす危険があります。


診断および治療

診断

尿検査が必要です。また触診で膀胱に緊張が無いか確認します。膀胱が拡張している場合は排尿障害があることを疑うので、カテーテルで尿道を広げてあげる必要があります。

さらに結石を疑う場合は、超音波検査やレントゲン検査で膀胱および腎臓に結石が無いか確認します。また食欲低下や虚脱をしている場合は血液検査を行い腎不全を併発していないか確認します。

治療

ストロバイト結石の場合は、結石を溶かす事が出来るため、pHコントロールなどの療法食を主体に内科的な治療でも完治させる事が出来ます。食生活にも影響されるため、おやつや人間の食べるものを与えすぎると再発することが多くみられます。

そのほかの溶けないタイプの結石の場合、外科的な手術が必要な場合が多いです。外科手術後も療法食だけでは再発するケースの方が多く、そうした場合は内服薬を併用したり定期的に膀胱洗浄を行ったりする必要があります。

血尿で来院する場合は、抗生剤、止血剤、pH調整剤などで治療をする事で完治しますが、尿閉(尿が出ない)の場合は、急性の腎不全を併発している場合が多いので、尿道カテーテルを通して、入院治療をする場合が多いです。


予防

食生活の管理が重要です。尿石症になる動物のほとんどがおやつ類の与えすぎ、高級缶詰やちゃおちゅーるなどのおやつ中心の不摂生な食生活が見られます。

肥満も尿石症のリスクを増加させます。

適度な運動をさせて、飲水量を増やす事も重要です。


関連疾患

慢性腎不全


好発犬種

シーズー

よくあるご質問

Q:療法食をずっと食べ続けなくてはならないんですか?

A:一緒に、一般食に戻す努力をしましょう。

療法食は万能ではありません。特に尿石症用のフードは塩分含有が比較的高い反面、高齢になると腎臓、心臓病が増えてきます。よって逆に塩分制限をしないといけません。いかに具体的な有害事例をあげます。

 

 

■療法食の有害事例

【事例1】犬(ヨークシャーテリア) ♂(去勢) 15 歳 体重 2kg 福岡県 尿石再発防止用の療法食を 1 年 10 ヶ月給与。腎不全の所見が認められ、BUN80mg/dl と高値を示したため、コバルジンの投与を開始。腎臓への負担軽減を目的に、タンパク質の摂 取量を制限するため、尿石再発防止用の療法食の食事量を半量に減らし、不足するエネル ギー量をおかゆ(米)で補充し、1 週間の経過観察。腎機能の改善傾向が認められたため (BUN62.6mg/dl)、コバルジンの投与を継続し、食事を慢性腎不全管理用の療法食に切り替 えたところ、2 週間後に、さらに腎機能の改善が認められた(BUN54.2mg/dl)。

【事例2】猫(シャム) ♀(避妊) 6 歳 体重 4.3kg 福岡県 初診時ストルバイトによる血尿のため、ストルバイト尿石溶解時用の療法食の給与を指導。来院が途絶え、その間、同じフードを通販で購入し給与。3年後に、血尿のため再来 院し、シュウ酸カルシウム結石と診断。ストルバイト尿石溶解時用の療法食の長期給与が、 逆にシュウ酸カルシウム結石の形成を助長したことが推察される

療法食の健康への影響に関する事例(日本獣医師会調査(2012)より抜粋)