猫の口内炎が治らない~全抜歯(他院での誤った処置)

猫の口内炎が治らない~全抜歯(他院での誤った処置)

ポイント

●猫の慢性口内炎は、全臼歯抜歯による治療効果が50%以上
●猫エイズや猫白血病であっても抜歯をすることで完治する症例もあり
●必ず抜歯後はレントゲンを撮影して歯根の確認

症例

去勢猫 12才
猫エイズ陽性
以前から他院にて猫の口内炎の診断を受けていました。約1年前にその病院で麻酔下での臼歯の処置を受けました。その後も良化なく、ステロイドなどによる内服薬による治療を開始しましたが、次第に効かなくなってきたとの事で本院を受診しました。オーナー様は犬歯の抜歯を希望されていました。

口腔検査

口の中を検査すると全体的に発赤、腫脹しており、出血も認めらました。舌には潰瘍が認められました。大変可哀そうな状態になっており口の奥を見ようとするとかなり痛がるため、細かい精査は麻酔下で行うことにしました。

術前検査で問題がなかったため、当院にて全身麻酔下で再度処置をしました。

麻酔下で口腔内をよく観察すると歯の先端(歯冠)は無かったですが、抜歯したはずの奥歯の歯肉から出血をしており、麻酔下にも関わらず触ると痛がり麻酔から覚めてしまう状況でした。これは歯根が残っている可能性があると考え直ぐにレントゲン撮影をしました。

レントゲン検査

 

レントゲン画像では、ほとんどの臼歯で歯根が残っていました。

(写真の黄色い印)

本来猫の口内炎は歯根の部分が炎症を起こすため、この部分を残しても効果が無いばかりか、折れた歯を放置することで神経がむぎだしになりさらに口内炎が悪化します。

直ちにオーナー様に電話連絡を取り、全臼歯抜歯を優先して処置することにしました。

歯科処置

やはり歯根が残っている状況でした。

(写真の黄色い印)丁寧に歯根をエレベーターで剥離して、すべてを取り除きました。取り除いた後は、ドリルで滑らかに削りました。

2時間以上の処置になったため、下顎の犬歯と一部の切歯は残して処置終了としました。結局、歯根は15本残っていました。高齢の猫ちゃんでしたが、長く手術によく耐えてくれました。

処置後のレントゲン撮影です。歯根がきれいに取り除かれているのが分かると思います。

現在処置後、5日になりますが、徐々に食べられるようになってきたとの事です。

 

今回の費用

全臼歯抜歯+犬歯2本抜歯 ¥80,000

内服薬、点滴、レントゲン検査など ¥15,000

●今回は歯根を穿って取り除くと言った特殊な処置だったため、長時間になり費用が掛かっております。通常の前臼歯抜歯は¥50,000程度になります。

結果

今回は他院での処置が適切でなかったため完治が得られなかったと考えます。

当院での過去のデータでは、猫の口内炎に対して全臼歯抜歯を行なった場合、その50%以上の症例で完治が得られています。

過去に全臼歯抜歯をしても治らなかった症例は、レントゲン撮影をすることもお勧めいたします。

猫の口内炎でお困りの方はぜひ、あいペットクリニック稲毛獣医科までお問い合わせください。