ペットフードの賢い選び方

ペットフード選びって本当に大変ですね。選ぶ際は、動物病院やペットショップで勧められたものだったりインターネットの口コミで評判のよかったものだったりする事が多いと思います。 そんな中、ペットフードでは、1Kgあたり1,000円以下の商品から4,000円を超える商品まで大きく値差があります。
何がペットフードの単価を決めるのかの「からくり」を含めて、どんなペットフードを選んだほうが良いのか、当院での考えをご説明させて頂きます。 ただ以下の3点だけは、ペットの健康を守るうえで絶対に避けた方が良いと考えます。

ペットフードの選びのポイント

ペットフードの選びのポイント

パッケージに表記されている原材料名をしっかり見て、
  • A.日常我々が食べないような原材料を使用したペットフードは避ける
  • B.合成着色料の入っているペットフードは避ける
  • C.保存料は天然保存料のみ、添加物は使用していないペットフードを選ぶ
当院で扱っている、ナチュラルと呼ばれているフードは、例えばイタリア産のファルミナでは、800gで2500円します。 一方、国産G社のペットフードは、1Kgで1000円以下で購入する事が出来ます。 その違いを具体的に説明していきます。

ペットフードの表示の基本的な見方

ペットフードの表示を見る上での注意点

その前に表示の見方になりますが、
  • D.成分名は含有量の割合の高い順番に表示される。ただし重量ベースなので乾物換算が必要
  • E.タンパク質、脂質などのパーセント表示は最低限の表示なので参考程度にしかならない
  • F.ビタミン、ミネラルなどは細かく標記されているが、大部分の工場ではあらかじめ配合されている粉(プレミックス)を用いるため大雑把に把握で大丈夫

ペットフードの比較

イタリア産ファルミナ社(腎臓ケア 犬用)

ファルミナペットフーズ・ジャパン株式会社 【原材料】 サツマイモ、米、鶏脂、乾燥全卵、亜麻仁、魚油、魚肉加水分解物、アミノ酸類(DL-メチオニン、L-リジン、タウリン、L-カルニチン)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、コリン、ベータカロテン)、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、クロライド、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、マンガン、セレン)、酸化防止剤(植物油抽出トコフェロール)

国産G社のドックフード

【原材料】 穀類(小麦粉等)、肉類(チキンミール、チキンエキス、ビーフミール等)、糖類、いも類(さつまいも等)、野菜類(にんじん、かぼちゃ、ほうれん等)、品質保持剤(プロピレングリコール)、ミネラル類(リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸鉄、炭酸亜鉛、硫酸銅、炭酸マンガン、ヨウ素酸カルシウム )、増粘安定剤(グリセリン)、保存料(ソルビン酸カリウム)、ビタミン類(コリン、C、E、ニコチン酸、パントテン酸、A、B6、B1、B2、葉酸、B12、D )、pH調整剤、アミノ酸類(L-リジン塩酸塩)、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウム、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)、着色料(二酸化チタン、黄5、赤106、黄4、青1)

内容が解りずらいので表にまとめてみました。尚プレミックス、アミノ酸の内容は、上記のFの理由から割愛しています
イタリア産ファルミナ社 国産G社
主原料 サツマイモ、米、鶏脂、乾燥全卵、亜麻仁、魚油、魚肉加水分解物、アミノ酸類、 穀類(小麦粉等)、肉類(チキンミール、チキンエキス、ビーフミール等)、糖類、いも類(さつまいも等)、野菜類(にんじん、かぼちゃ、ほうれん等)、アミノ酸類
添加物 なし 品質保持剤(プロピレングリコール)、増粘安定剤(グリセリン)
プレミックス ビタミン類、ミネラル類 ミネラル類、ビタミン類
保存料 酸化防止剤(植物油抽出トコフェロール) 保存料(ソルビン酸カリウム)、pH調整剤、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウム、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)
合成着色料 なし 二酸化チタン、黄5、赤106、黄4、青1
解りやすく表に整理してみました。
<ペットフードの選びのポイント>に照らし合わせて解説をします。

A.日常我々が食べないような原材料を使用したペットフードは避ける

イタリア産ファルミナ社だと、乾燥全卵、魚肉加水分解物、アミノ酸類があまりなじみのない原材料です。腎臓用なので、良質のたんぱく質に絞っています。
一方、国産G社だと、チキンミール、チキンエキス、ビーフミール。いわゆる肉粉、屠畜工場や副産物処理工場でリサイクルされる副産物です。狂牛病の発生から人間があまり口にしない食材です。以下のページに追記がありまので参考にしてください。

B.合成着色料の入っているペットフードは避ける

イタリア産ファルミナ社だと、合成着色料は使用していませんが、国産G社だと、二酸化チタン、黄5、赤106、黄4、青1と色々と使っています。

C.保存料は天然保存料のみ、添加物は使用していないペットフードを選ぶ

イタリア産ファルミナ社だと、天然の保存料のみを使用しています。一方、国産G社だと人工保存料および天然の保存料の両方を使っています。

まとめ

イタリア産ファルミナ社でも国産G社でも両社とも普通に販売されているペットフードです。ペットフードの販売会社も利益を得るためにマーケティングをして販売をしている訳で、安い原料を使って安いペットフードを販売する方法もあるし、人間が食べられるグレードの原材料を使うペットフードもあります。原材料の違いがペットフードの価格差を生んでいます。
最終的に何を選ぶかは飼い主様の判断ですが、皆さまの大切なペットの健康を守る上では「ペットフードの選びのポイント」に記載された事を頭の片隅にでも置いて選んでいただければと思います。

追記…グレインフリーだから安全と言う訳ではない

一部ではグレインフリーを推奨する考え方が広く広まっています。その理由としては、

グレインフリーを推奨する理由??

  • ①犬や猫は肉食動物だから穀類を与えない方が良い?
  • ②穀類はアレルギーを起こすから与えない方が良い?
  • ③穀類は肥満を起こすから与えない方が良い?
こうした考え方に対して、まったくの不正解ではありませんが、正解でもないと考えます。

①犬や猫は肉食動物だから穀類を与えない方が良い?

猫は真正の肉食動物ですが、犬は肉食系雑食動物です。 ヒルズのホームページ
肉食を主体に与えた方が勿論、消化吸収は良いでしょうが、1kgあたり2,000円以下のペットフードはタンパク源にミール類(肉粉)を使っています。前述の通り肉粉は、屠畜工場での副産物で、生肉とは全く性質や価格が全く異なります。

②穀類はアレルギーを起こすから与えない方が良い?

一部の穀類はアレルギーを起こすことが知られていますが、肉類もアレルギーを引き起こす可能性があります。 下記のURLを参考にしてください。
食物アレルギー

③穀類は肥満を起こすから与えない方が良い?

これはあまり根拠の無い理論です。 市販されているダイエット用ペットフードは、グレインフリーの設計では無く、低カロリー、低脂肪にする設計が一般的です。なぜならグレインフリーの場合、高脂肪になる設計が多いためかえって太ってしまうケースがあるからです。 さらも肥満は単純にペットフードの質だけでは無く、おやつなどの間食の習慣、運動量の確保、去勢避妊手術などの影響も受けます。