第三眼瞼腺の脱出(チェリーアイ)

第三眼瞼腺の脱出は、第三眼瞼腺という涙液を作る腺が、瞬膜(両目の内側のまぶたと眼球の間に見える膜状の組織)の縁を越えて外に飛び出してしまう病気です。飛び出した第三眼瞼腺は、炎症を起こして大きく腫れ上がり、チェリーのようになることから、通称チェリーアイと呼ばれています。

原因

ほとんどが先天的な原因で、第三眼瞼と第三眼瞼腺との結合組織が先天的に欠けていたり、結合が不十分などの理由が多く見られます。また、炎症や外傷などによっても引き起こされることがあります。

症状

第三眼瞼腺が瞬膜から外部に突出し、ピンク色に腫れれます。眼周囲の不快感からで、目をこすり二次性の結膜炎や角膜炎を起こすことがあります。
 
遺伝的な要因も多く、両側で生じる場合も多く見られます。

治療

犬の第三眼瞼腺の脱出は、点眼液などによる内科療法では効果をあげないことがほとんどです。大半は幼犬期に発生する場合が多いので、避妊手術や去勢手術の際に、合わせて外科的治療する事が多いです。
 
第三眼瞼腺は涙液全体の約3割を産生する重要な腺組織なので、不用意に切除した場合、ドライアイになるリスクがあります。第一選択としては、埋没法やポケット法と呼ばれる、第三眼瞼腺を内側に縫い付ける方法が取られます。再脱出をする場合は切除法を用いることもあります。

予防

先天性による疾患がほとんどの為、効果的な予防はありません。定期的に眼のチェックをする事が予防と考えます。

関連疾患

角膜潰瘍
 
猫の両側性第三眼瞼の突出ウイルス性の神経炎や二次的に、第三眼瞼支配の交感神経障害、胃腸の寄生虫症、上部気道感染症などに伴って、両眼の第三眼瞼の突出がみられることがあります。基礎疾患を治療する事で自然に治癒される事が多いです。
 
ホルネル(ホーナー)症候群第三眼瞼の突出の他に、瞳孔が縮む縮瞳、上眼瞼の下垂、眼球の陥没があわせて症状として観察される、脳幹、脊髄の神経障害、頸部の外傷などによって起こされる病気です。