原理
減感作療法は人の医療ではおよそ100年前に、花粉症の患者に花粉エキスを注射して、花粉症を起こさせないようにした事が最初と言われています。
アレルギーの原因となっている物質(食物を除く、花粉、カビ、ダニ等のアレルゲン)の抽出物を少しずつ、量を増やしながら皮下注射をすることによって、そのアレルゲンに対して体を慣らさせて、アレルギーを発症させないようにする治療法です。
減感作療法は症状の発言を予防し、長期的な視野で病気の経過を改善するための最善の治療法であることが、犬アトピー性皮膚炎国際調査委員会による「犬のアトピー性皮膚炎の治療ガイドライン2010」においてみとめられ、ガイドライン上で、推奨度Aとランクされています。欧米ではこの減感作療法が主流です。
手順および費用
2014年6月に、日本全薬工業より、犬アトピー性皮膚炎における主要アレルゲンの一つのコナヒョウヒダニ(Der f2)抗原を使用した減感作薬が発売されました。
従来の減感作療法は、アレルゲンを特定してからオーダーメイドで治療薬を作るため治療効果が高いものの、治療期間が長い事や動物保険の対象にならない事などのデメリットがありました。
当院では症状に合わせて、両方の治療を行っております。
①減感作療法
| 92種抗原特異的アレルギー検査 | 26,000円 |
|---|---|
| 減感作薬の輸入 | 2週間ほどお待ちいただきます |
| 皮下注射による治療 | 2,500円 x 26回 = 65,000円 |
②コナヒョウヒダニ抗原を利用した減感作療法
| アレルミューン | 8,000円 x 6回 = 45,000円 |
|---|
治療
①減感作療法のプログラム
下記のプログラムにしたがって、投与致します。
| 1日目(入院) | 緑 0.1~1.0ml 計9回 |
|---|---|
| 5日目 | 青 0.1ml |
| 10日目 | 0.2ml |
| 14日目 | 0.4ml |
| 21日目 | 0.6ml |
| 28日目 | 0.8ml |
| 38日目 | 1.0ml |
| 48日目 | 1.0ml |
| 58日目 | 1.0ml |
| 68日目 | 1.0ml |
| 78日目 | 赤 0.3ml |
| 99日目 | 0.5ml |
| 120日目 | 0.5ml |
| 5ヶ月目 | 0.6ml |
| 6ヶ月目 | 0.8ml |
| 7ヶ月目 | 1.0ml |
| 8ヶ月目 | 1.0ml |
| 9ヶ月目 | 1.0ml |
②コナヒョウヒダニ抗原を利用した減感作療法のプログラム
下記のプログラムにしたがって、投与致します。
| 1週目 | アレルミューン HDM 0.1 |
|---|---|
| 2週目 | アレルミューン HDM 0.5 |
| 3週目 | アレルミューン HDM 1.0 |
| 4週目 | アレルミューン HDM 2.0 |
| 5週目 | アレルミューン HDM 5.0 |
| 6週目 | アレルミューン HDM 10.0 |
効果およびリスク
効果としては60~80%の改善がみられています。
一般的に若齢動物の方が高齢動物よりも治療の効果が高いです。
一方リスクとして注意すべきは、アナフィラキシーショックと呼ばれる、急性の副作用です。発現率は非常に少ないですし、初日は入院にて対応させているので、万が一の場合も適切に対応可能です。



