原因

糖尿病は、膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるインスリンという ホルモンの分泌の低下や作用の低下によって起こる病気です。

インスリンは、体の血糖値を下げる作用を持っているホルモンです。そのインスリンの分泌の低下や作用の低下が起こると、 高血糖(280mg/dl以上の高い血糖値)になり、尿の中に糖がでて、 いわゆる「糖尿病」となります。

Ⅰ型糖尿病
インスリン依存性糖尿病
インスリンが分泌されないため、インスリン注射による治療 犬で多く見られる。
Ⅱ型糖尿病
インスリン非依存性糖尿病
インスリンの分泌が不十分なため、食事療法血糖降下剤で治療 人で多く見られる。
猫に見られる。
境界型糖尿病
耐糖能障害
ストレスによる一時的な血糖値上昇 猫で多く見られるが、ほとんどの場合治療の必要なし。

症状

多飲、多尿、多食が一般的に見られます。多食傾向にあるもののだんだんと痩せてしまう事もあります。

猫の場合は、必ずしも多食傾向にならない事が知られています。またかなり悪化した状態まで症状が現れない事も多く見られます。

また合併症を引き起こす事が知られており、肝リピドーシス、肝硬変、急性膵炎、腎不全、細菌感染による膀胱炎、皮膚炎などのリスクが高まります。さらに高血糖が続くと、脂肪の分解が亢進して、血液のpHが酸性側に寄った状態(糖尿病性ケトアシドーシス)となり、 昏睡に陥り死んでしまうことも少なくありません。

治療

犬の場合

インスリン療法が基本になります。多くの場合、即効型インスリンで治療を開始する事が多いです。十分なコントロールが出来ない場合やクッシング症候群などの合併症を起こしている場合は、中間型や持効型に切り替えます。

食事療法も併用する事がありますが、低脂肪、高たんぱく、低GIの食餌であれば代用する事も可能です。

猫の場合

猫の場合も基本的には犬のインスリン療法が基本になります。ただし食餌療法も有用であることが分かっています。低脂肪、高たんぱく、低GIの食餌を積極的に取り入れる事が推奨されます。

猫のⅡ型糖尿病の場合は、経口血糖降下剤(グリピジドなど)が有効な場合があります。

管理およびモニター

糖尿病の管理の場合、日々の投薬と血糖値のモニターが必要になります。血糖値は日中の変動が激しいため、糖化アルブミンやフルクトサミン等の値を参考にします。当院ではリブレを利用する手法を用いています。

ご自宅での日々の管理としては、尿検査を行う事をお勧めします。ネットでも尿糖を測定するキットが安価に入手する事が出来るので、そうった試薬を利用して尿糖の有無を調べるのがおすすめです。

インスリンの量が多ければ低血糖を引き起こすリスクがあり、また少なければ糖尿病に続発する、白内障や他の内臓疾患を引き起こすリスクがあるため、最適な投与量、薬品、投与方法を決めるのが重要であります。

予防

有効な予防方法はありませんが、定期的な尿検査あるいは血液検査で、血糖値や糖化アルブミンなどを測定する事で早期発見をする事が出来ます。

関連疾患

甲状腺機能低下症クッシング症候群

好発犬種

ミニチュア・ピンシャー、ダックスフント、ビーグルなど