あいペットクリニック稲毛獣医科では、ペットと人とのより良い共生関係を維持するため、状況に応じて下記のような特殊な外科手術を行うことがあります。

ただし、これらの手術は一度行うと元に戻すことができず、動物愛護の観点からも慎重な判断が求められるものです。飼い主様におかれましては、決して軽い気持ちで選択すべきではないという点をご理解いただきたく存じます。

手術の適応については、まず十分にご事情をうかがい、獣医師との面談を通じて総合的に判断させていただきます。なお、これらの手術は医療行為とは認められておらず、各種ペット保険の適用対象外となりますので、あらかじめご了承ください。

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【声帯切除術】 Devocalization

声帯切除術は、犬の声の高さや大きさを抑えるために、声帯のヒダおよびその周囲の筋肉を切除する特殊な外科手術です。
本来、吠えることは動物にとって自然な行動であり、この手術は不可逆的な処置であるため慎重な判断が必要です。当院では十分なカウンセリングと必要性を確認したうえで、以下の2種類の手術方法をご案内しています。


① 口腔アプローチ(口からの処置)

この方法では、鎮静麻酔下で口を開けた状態で、半導体レーザーを用いて声帯ヒダの一部を切除します。
処置時間が短く、費用を抑えられる利点がある一方、効果が限定的で再手術が必要となる場合もあります。
一般的には高音域の声が小さくなる傾向があり、小型犬でよく用いられます。

  • 費用:¥50,000~(税別)※術前検査費用は含みません


② 経皮アプローチ(喉頭切開法)

この方法では、全身麻酔下にて皮膚を切開し、喉頭に直接アプローチして声帯と周囲筋肉を広範囲に切除します。
効果が長続きする反面、手術の負担が大きく、術後の痛みや合併症リスクがやや高いため、入院治療が必要になることが多いです。

  • 費用:¥100,000~(税別)※術前検査費用は含みません

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【爪切除術】 Onycectomy

爪切除術について

爪切除術(デクロー手術)は、主に爪の腫瘍重度の細菌感染がみられる場合など、医学的な必要性がある際に行われる手術です。
一方で、人に対する攻撃行動を防ぐ目的で行われるケースもありますが、この点については動物福祉の観点から国内外で賛否が分かれており、慎重な判断が求められます。一部の海外では普及していますが、当院では積極的にお勧めしておりません。

半導体レーザーによる低侵襲手術

当院では、爪切除術に半導体レーザーを使用することで、従来のメスや電気メスと比べて術中の痛みや出血を大幅に軽減しています。
レーザーにより止血しながら切開できるため、術後の負担が少なく、日帰りでの手術も可能です。なお、爪は関節ごとに切除するため再生することはありません

術後の経過とケア

術後は、すべての爪を切除するという手術の性質上、どうしても指先の腫れが翌日まで残ることがあります。これは一般的に3日程度で自然に軽快します。
当日お返しの場合は、指先にテーピングを施した状態でお帰りいただきます。抜糸は通常術後7~10日程度で行います。

費用の目安(すべて税別)

  • 爪切除術:¥80,000~(術前検査費用別途)

  • 術前検査費用:¥10,000~20,000程度