アポキルを1年以上服用しているワンちゃんは注意が必要です。

2022.08.21

 

当院の患者さんの紹介で、遠方から来院したマルチーズちゃんを紹介します。1年半の間、動物病院で熱心に治療を受けていたのにも関わらず、外耳炎が治らないとの事でご来院しました。

診断は単純に、「細菌性慢性外耳炎」でした。

 

アポキルを長期服用している場合の注意点

〇 アポキルは、アトピー性皮膚炎を治療する薬ではなく、痒みを緩和する薬のため、投薬を中止すると痒みが再発する事が多い。

〇 免疫抑制剤に分類される薬なので、長期投与の場合、膀胱炎、外耳炎、マラセチア性皮膚炎などを合併症として起こす可能性がある。

〇 アポキルは、劇薬、要指示医薬品に指定されている薬で、1年を超えて投薬を続けた場合の副作用はまだ不明な点が多い。

 

このマルチーズちゃん、アポキルを服用していました。このアポキルを飲み始めたのは、数年前に「足先が赤くなった、耳が赤くなった」との事で、今の動物病院でアトピーと診断を受けた事がきっかけだそうです。その後、アポキルを止めたり、ステロイド剤に変更したりしながら現在に至ったそうです。

耳を拝見した所、両耳とも耳道が腫れており、さらに耳の奥に膿がたまっていました。洗浄をしたところ耳の奥から汚れが出てきました。今までは動物病院で2週間に1回耳の中に入れる薬(おそらくオスルニア)を使っていたそうで、家では耳のケアをしていなかったそうです。動物病院での不適切な耳処置と長期に渡って使っている事による薬の耐性が疑われます。またアポキルを服用していた副作用も考えられます。

 

今日は抗生剤と炎症止めの薬を処方しました。次回には大分よくなっていると思います。たただこの子の場合、耳の道が腫れていたため元通りの耳道に戻るには相当時間を要すると考えます。今後は自宅での耳洗浄を推奨する方向で考えています。

 

アポキルは決して安価な薬ではありません。当院でも当然使用しますが、診断をしてから最小限に使用しています。アポキルを長期に渡って投薬している、ペットオーナーの方の参考になればと思います。

あいペットクリニック稲毛獣医科